障害福祉 改定ノート

グループホームの虐待防止委員会と研修・記録の進め方

公開 2026-10-02

導入

共同生活援助(グループホーム)の設置者・管理者向けの記事です。

指定基準では、虐待防止委員会の開催と従業者研修が求められています。担当者を置くことも、あわせて求められています。ガイドライン第1版(令和8年2月)の自己チェックシートも、同じ項目を問います。

委員会は、開いただけでは足りません。結果を従業者へ周知徹底し、研修は新規採用時にも実施します。この記事では、委員会・研修・記録を一巡させる手順をまとめます。

結論:何をすればよいか

必要なもの

手順

手順1 基準の要求を書き出す

ガイドラインは、指定基準第40条の2で次の3点が義務付けられていると示しています。

  1. 虐待防止委員会を定期的に開催し、結果を従業者に周知徹底する
  2. 従業者への虐待防止研修を定期的に実施する
  3. これらを適切に実施する担当者を置く

この3点を紙に書き出します。横に、自事業所の直近の実施日を並べます。別添1(43ページ)にも、事業者が実施する委員会・研修等の一覧があります。

ここでのつまずき:「定期的」だけを読んで間隔を決めると、基準とずれます。ガイドラインは、委員会を少なくとも年に1回、研修を年に1回以上と示しています。

手順2 責任者と担当者を決める

虐待防止委員会の責任者は、通常、管理者が担います。担当者には、サービス管理責任者等、虐待防止のリーダーとなる従業者を配置します。

決めた日と氏名は、文書に残します。

ここでのつまずき:口頭で決めただけだと、後から誰が担当か確認できません。氏名と決定日を、委員会の記録に書いておきます。

手順3 委員会の構成を決める

ガイドラインは、委員会を組織的に機能させるために、苦情解決の第三者委員等の外部委員を入れてチェック機能を持たせることを挙げています。

設置者には、虐待防止の体制が適切に整備・推進されているかを確認する責務があります。ガイドラインは、実際に管理者による虐待が発生している事例があることにも触れています。

構成員の氏名と役割を一覧にします。外部委員の人選と依頼の方法は、自事業所で決めます。

ここでのつまずき:管理者だけで構成すると、管理者自身の対応を点検する人がいません。構成案を作る段階で、外部委員の候補を挙げておきます。

手順4 委員会を開き、記録を残す

委員会は、少なくとも年に1回開きます。ガイドラインは、研修や虐待防止チェックリストの実施など、具体的な取組を進めることを求めています。議題の例は次のとおりです。

記録には、日時、出席者、議題、決定事項、次回予定を書きます。様式は自事業所で決めます。

ここでのつまずき:「問題なし」の一言で終えると、従業者に伝える中身がありません。決定事項は、文章で書き出します。

手順5 結果を従業者に周知する

ガイドラインは、委員会の結果を従業者に周知徹底することを求めています。出席した人だけでなく、非常勤を含む従業者全員が対象です。

周知の方法(回覧、会議での説明など)と、周知した日を記録します。

ここでのつまずき:出席者だけに伝えても、従業者への周知にはなりません。シフトの都合で会議に出られない人への伝達方法を、あらかじめ決めておきます。

手順6 研修プログラムを委員会で作る

ガイドラインは、研修を事業所の虐待防止委員会が作成した研修プログラムに基づいて実施するとしています。

あわせて、「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」は必ず読むこととされています。プログラムに、手引きの読み合わせを入れます。

自治体等が実施する研修を従業者に受講させることも、重要とされています。プログラムに受講計画も書きます。

ここでのつまずき:外部の教材を流すだけでは、委員会が作ったプログラムに基づく研修になりません。外部教材を使う場合は、プログラムのどこに位置づけるかを委員会で決めます。

手順7 研修を実施し、受講を記録する

研修は年に1回以上実施します。従業者の新規採用時には、必ず実施します。

記録には、実施日、内容、講師、受講者の氏名を残します。欠席者がいる場合は、補講の日も書きます。

自己チェックシートの「研修の受講機会等の提供」には、受講した研修も含めて記載する旨の注記があります。自治体等の研修に参加した場合も、同じ記録に残します。

ここでのつまずき:年1回の全体研修だけだと、年度の途中で採用した人が対象から外れます。採用時に実施する流れを、採用手続きの中に組み込みます。

手順8 通報の流れを確認する

従業者から虐待を受けたと思われる利用者を発見した場合、通報の義務があります。相談を受けて虐待と認識した場合も含まれます。根拠は障害者虐待防止法第16条で、通報先は市町村の障害者虐待対応の窓口です。

窓口名と連絡先は、自治体の案内で確認します。確認した内容は、緊急連絡の一覧に載せます。

ここでのつまずき:事実確認が済んでから通報しようとすると、事業所内で収束させる形になります。ガイドラインは、必ず市町村に通報したうえで、行政と連携して対応するとしています。

手順9 身体拘束の措置を分けて管理する

身体拘束等の適正化は、虐待防止とは別の措置として示されています。

新規採用時の研修も、必ず実施します。

ここでのつまずき:二つの委員会は、ガイドラインで別の項目として書かれています。記録の綴りも、項目ごとに分けます。

手順10 自己チェックシートで確認する

別紙の自己チェックシートで、次の項目に答えます。該当ページは38・39ページです。

回答前に、記録で日付を示せるかを確かめます。提出の要否と方法は、所管の自治体の案内で確認します。

ここでのつまずき:実施した記憶だけで「はい」と答えないことです。日付と参加者が分かる記録を、手元に置いてから答えます。

よくあるつまずきと対処

委員会は開いたが、周知の記録がない

議事録はあるのに、従業者に伝えた証跡がない状態です。回覧欄や確認日の欄を、議事録に付けます。伝達の漏れがあれば、その時点で補います。

年度途中の採用者に研修をしていない

全体研修を済ませたことで安心し、採用時の研修を落としがちです。採用日と研修実施日を同じ表に並べます。未実施の人が、一目で分かるようになります。

委員会が管理者だけで構成されている

管理者の対応を点検する人がいません。外部委員の候補を挙げ、構成員の一覧を更新します。人選は自事業所で決めます。

研修の受講歴が散らばっている

自事業所の研修と、自治体等の研修が別々に保管されている状態です。チェックシートでは、受講した研修も含めて記載する注記があります。従業者ごとの受講一覧に一本化します。

虐待の疑いを内部で調べ続けてしまう

通報は、事実確認の完了を待ちません。窓口の連絡先を、事務所に掲示します。

提出・完了後の確認

完了の確認は、次の順で行います。

  1. 委員会の記録に、日時・出席者・決定事項・周知日がある
  2. 責任者と担当者の氏名が、文書に残っている
  3. 従業者全員について、研修の受講日が確認できる。新規採用者も含む
  4. 通報先の窓口の連絡先が、緊急連絡の一覧にある
  5. 自己チェックシートの該当項目に、記録を見ながら回答した

次回の予定も決めます。委員会は少なくとも年に1回、研修は年に1回以上です。次回の日を、年間の予定表に入れます。

管理者と虐待防止責任者向けの研修について、厚生労働省のページに記載があります。都道府県が、管内市町村や虐待防止センター等の職員、施設・事業所の管理者及び虐待防止責任者向けに実施しています。日程は、都道府県の案内で確認します。

同ページの講義資料・動画は、関係者間で研修内容を学習・共有する際に使えます。ほかの目的での無断使用は禁じられており、SNSでの投稿もお控えください。

制度や手順は変更されることがあります。実行前に必ず提供元の公式情報をご確認ください。

この記事に関係する実務キット

白紙の様式と記入例です。個別の事業所向けに書類を作成するものではありません。

出典

制度や手順は変更されることがあります。実行前に必ず提供元の公式情報をご確認ください。